■ 慢性濫読 ■

最近めっきり物忘れがひどいので、簡単な読書メモです。ミステリ多め

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『沖で待つ』絲山 秋子  

沖で待つ沖で待つ
(2006/02/23)
絲山 秋子

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内容(「MARC」データベースより)
仕事のことだったら、そいつのために何だってしてやる。そんな同期の太っちゃんが死んだ。約束を果たすべく、私は彼の部屋にしのびこむ-。仕事を通して結ばれた男女の信頼と友情を描く表題作のほか、「勤労感謝の日」を収録。



2本の短編を収録。
表題作『沖で待つ』は、住宅設備機器の大手メーカーに営業として就職した“私”と、同期入社で同じ地方営業所に配属された太っちゃんとの友情。
職場での不安も苦労も喜びも分かち合った男女が、恋愛パートナーとしてではなく、あくまでも親友として恋人や夫婦にもない深い絆を大切にし続けるのがいい。

『勤労感謝の日』では、三十代半ばで無職、職安に通う日々を失業保険でなんとか食いつないでいる女性が、近所の知り合いにすすめられて気乗りよりも後ろめたさから見合いをする。
けれど現われたのは、一流企業に勤めるものの容姿も性格もハズレの男だった。



著者はかつて住宅設備機器の大手メーカーで営業として三十代半ばまで勤め、鬱病になって退職してから小説を書くようになったのだそう。
だからどちらの作品も、著者の姿を少なからず映しているのでは、と思える心理描写のうまさでした。
特に『勤労感謝の日』では、見合いの席を抜け出して飲み歩くという“やさぐれ”ぶりが、すごくリアルで等身大。
現実的にこのぐらいの年齢までバリバリ働いてる女性は、一人で赤提灯でグデグデになるまで呑んだくれるなんてこと、平気でやるでしょ?
第一、自分の好き嫌いだけで生きていけないことはしっかり学んでしまってるだろうし。
なんだかせつないよなぁ。

『沖で待つ』は、読後感がとても爽やか。
親友は亡くなってしまって悲しいはずなのに。
脇役的な上司や現場の人たちもいい人ばかり。
男女の友情……それ自体は当たり前に存在する物だと思う。
むしろ、私個人としては、一生モノの女友達もいない男には人間的な魅力を感じないし惚れないだろう。

とても薄い本だけれど、心に残る一冊でした。
女であることに甘えず頑張って生きてる人におすすめしたい。

第134回芥川賞受賞作。




★★★★☆






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『ブレイクスルー・トライアル』伊園 旬  

ブレイクスルー・トライアル (宝島社文庫)ブレイクスルー・トライアル (宝島社文庫)
(2009/03/05)
伊園 旬

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内容(「BOOK」データベースより)
技術の粋をつくしたIT研究所に侵入し、ミッションをクリアすれば1億円が手に入る一大イベントが開催されることになった。元IT企業の社員チームや、ひょんなことから紛れ込んだダイヤモンド強盗犯グループなどが参加を表明。生体認証や警備ロボットをはじめ、数多のセキュリティが設置された難攻不落の要塞を攻略するのはどのチームなのか。第5回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。



書店の一番目立つ場所にPOP付きで平積みになっていたし、『このミス』で大賞受賞とのことで期待して手にした一冊。

しかし……あー、もうっ!
正直いって期待はずれでした。
まず、前置きが長過ぎる。
イベントに参加する主人公と、彼とチームを組む数年ぶりに再会した学生時代の友達の参加理由やバックグラウンドが長い。
でもまぁ、これはこれで面白かったし、この2人のキャラに厚みが出てよかったかもしれない。
しかし、「じゃあ、他の参加チームは?どんな人たちがどんな理由で?」となると、こちらはさらっとしか書かれていなくてすごくアンバランス。
かといって、こっちもきっちり書こうとしたら、全体のページ数は2、3倍になるだろう。

で、恐らくメインテーマとしては、厳重なセキュリティシステムに守られた研究所に侵入するさまざまな方法として、各参加チームによってコンピューターハッキング、物理的な破壊、内側から管理人に開けてもらう、と色づけしているのだろう。
これは非常に興味深い。
なのに、前述した主人公らの人物説明に較べると、肝心の部分に関する文章がうすっぺらい。
さらに、いざクライマックスのイベントが始まってからは、複数の人物によるアクションが、私の読解力のなさなのか著者の文章力によるものなのか、誰がどんな動きをしているのかよくわからない。
したがってスピード感もない。
もちろん、脳内映像など起こらない。
同時進行で描かれる、ダイヤモンドの窃盗&密売の話もなんだか中途半端だし、主人公の出生のエピソードも、前半の書き込みのわりにはあっさりと終わってしまった。

ネタは面白いのに、いろいろ詰め込みすぎて手に負えなくなってしまった印象。
これがどうして『このミス』で大賞なのか、文庫化までされるのかが疑問です。





★★☆☆☆-






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『イニシエーション・ラブ』乾 くるみ  

イニシエーション・ラブ (文春文庫)イニシエーション・ラブ (文春文庫)
(2007/04)
乾 くるみ

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内容(「BOOK」データベースより)
僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて…。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説―と思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。



これほどレビューを書きにくい作品はなかなかないと思う。

合コンで出会った20代前半の男女の恋愛模様が、最初から最後まで淡々と続きます。
最後の3行をのぞいては。


「必ず二回読みたくなる」というのに引かれて読んでみました。
いわゆる叙述トリックというのでしょうか。
これを思いついたアイディアは秀逸だけど、このトリックを使うためだけに書かれたような印象を受ける作品です。
恋愛ストーリーそのものには、特に深みも感じられませんでした(というか、意図してそう書かれているのかも)。

確かに読み直したら全然違う印象の作品になりそうですね。
でも注意深く読んでると、1度目でも「あれ?なんか不自然」って感じる箇所があちこちに。

私が一番驚いたのは、この作家さんが男性だということ!


★★★☆☆




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あ、でも一応、解説みたいなのも書いておこうかな。
以下、追記に思いっきりネタバレしてますので要注意。




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『海と毒薬』遠藤 周作  

海と毒薬 (新潮文庫)海と毒薬 (新潮文庫)
(1960/07)
遠藤 周作

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第二次世界大戦末期、九州の大学病院で実際に行なわれた米軍捕虜の生体解剖。
この“殺人事件”をベースにしたフィクションです。

残酷な、信じられない、信じたくない事件ですが、この本のテーマは『罪と罰』であって、グロテスクさを売り物にしたものではありません。
終始淡々とした描写で事件に関わった人物の背景や心理が語られていき、その中に『罪とは何か』という疑問が織り込まれています。
罰せられることがなければ、それは罪にはならないのでしょうか。
時代背景的に『みんな死んでいく世の中』において、命の重さが学内の派閥争いよりも軽く扱われていることのほうが、よっぽどグロテスクだと感じました。

冒頭に描かれている、戦後(昭和30年代)の平和な新興住宅街の様子をじっくり読むと、戦争の狂気が浮き彫りになってゾッとします。

どこかで読んだ、『戦争が起こるたび、兵器と医学が飛躍的に進歩する』という一節を、思い出していました。


★★★★☆


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『青春の蹉跌』石川 達三  

青春の蹉跌 (新潮文庫)青春の蹉跌 (新潮文庫)
(1971/05)
石川 達三

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ふとした時に手にしては、何度も読み返してしまう悲しくも寒々しい青春小説(と思ってる)。
初めての出会いは、高校の現国の教科書だったか模試だったか。
抜粋を読んですぐに書店に走ったのでした。

ストーリーは、一流大学に通う母ひとり子ひとりの傲慢な主人公が、親からも周囲からもエリート街道まっしぐらな将来を期待されていながら、たったひとりの女のために転落していく物語。
つまりは、お勉強ができても世間知らずなボクちゃん……そんなお話。
(いや、一応文学作品なんだから、もっともっと深いんだろうけど)
暗くて破滅的で可哀想で、でも「あんた、ほんとバカね」って同情しながらも苦笑してしまう、大好きな作品です。

主人公と同じ年頃の、20代前半の方にぜひ読んでいただきたい。


★★★★★


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『冷静と情熱のあいだ―Rosso』江國 香織  

冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫)冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫)
(2001/09)
江國 香織

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ひとつのラブストーリーを、ふたりの作家が女の目線と男の目線で書く、という試みに惹かれて手にしました。


……ごめんなさい。
やっぱり私、江國香織の文体が苦手です。
もう10年以上前に友達に薦められて読んだ私にとって初の恋愛小説が彼女だったことを思い出しました。
それ以来長いこと、恋愛小説は苦手でした。

主人公の女性が……書きようによってはもっと魅力的なはずなのに、好きになれません。
相手の男性の人となりも、今ひとつ伝わってきません。


★☆☆☆☆


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