Scene from the Movie Giant
2008 / 04 / 13 ( Sun )
メキシカン・アメリカンの詩人、ヴィラヌエヴァの詩集で、一冊まるごと映画『ジャイアンツ』の、ほんの10分あまりのシーンについて書かれています。 『ジャイアンツ』といえば、ジェームス・ディーンやロック・ハドソン、エリザベス・テーラー出演のアメリカ映画。 人種差別も色濃く残る、第一次世界大戦後の東部が舞台の人間ドラマです。 問題のシーンにジェームス・ディーンは出演していませんが、当時白人男性のシンボル的俳優・ハドソンが「おまえ、人種差別すんなよ!」と殴り合いの喧嘩をして負けてしまいます。 この映画を14歳の時に初めて観たヴィラヌエヴァが、何年経っても脳裏から離れないたった10分のシーンへの怒りや悲しみが込められた詩集で、冒頭はさざなみのような悲しみが、だんだんと爆発的な怒りになっていく力強い作品。 ★★★☆☆ |
Gary Soto: New and Selected Poems
2008 / 04 / 12 ( Sat )
メキシカン・アメリカンの詩人、ゲイリー・ソトの詩集。 『New and Selected』とサブタイトルにあるように、どれも厳選された素敵な作品ばかりです。 詩人としてだけではなく、編集者として、また作家としてたくさんの作品を送り出しているソト氏。 本業であるこの詩集では、思わず声を立てて笑ってしまうようなユーモアと、暖かな家族愛、光溢れる未来への希望が満ちています。 そして、どこかチクリとする部分も。 彼のヤングアダルト向け小説も読みたくなります。 ★★★★☆ |
Zoot Suit
2008 / 02 / 25 ( Mon )
ラテンアメリカ文学の授業で読んだ戯曲。 zoot suit(ズート・スーツ)とは、1940年代のメキシカン・アメリカンの間で流行した服で、この服を着る人たちは『zoot suiter』と呼ばれていました。 しかしこれはただのファッションではなく、ひとつのシンボルで、着る人たちは不良とかギャングとか呼ばれがちだったようです。 白人による人種差別や偏見、メキシカン・アメリカン二世たちのアイデンティティや反抗や葛藤など、この服の持つ意味は深く、それを上手く表現したのがこの作品。 本来は舞台でのお芝居のために書かれた脚本ですが、映画(DVD)にもなっていて、私は映画の方が好きです。 心の声(?)なるEl Pachuco役の俳優さんの演技がすごい!! 作家のLuis Valdezはこの他にも『Los Vendidos』など、人種差別に訴えかける風刺たっぷりの作品を多数残しています。 ★★★★☆ |
Pocho
2008 / 02 / 10 ( Sun )
カレッジのラテンアメリカ文学の授業で読んだ作品。 タイトルの『Pocho』とは米俗語で、『アメリカで生まれ育ったメキシコ人』という意味なんですが、実際は蔑視的な含みもあって、『アメリカ人になりたいメキシコ人』、『スペイン語をほとんど話せないメキシカン・アメリカン』、『メキシコ人になりたいアメリカ人』、『アメリカとメキシコを頻繁に行き来し、どちらをも故郷のように感じる人』という意味もあります。 この作品は、両親がアメリカに入植した、メキシカン・アメリカン二世の男の子が、双方の文化や人間関係の中で大人になっていく話。 第二次世界大戦が始まって、主人公が青年になったところで物語は終わるのだけど、それまでには小学校での差別や、英語を話せない(=かたくなにメキシコの文化を守ろうとする)両親への反発、白人の女の子との儚い恋、戦争が始まってコンセントレーションキャンプに送られるジャパニーズ・アメリカンの友達、などなど……いろんなことがあるわけです。 移民二世にとって、「自分は何人なのか」という自分への問いかけは、大人になるにつれ重くのしかかるものなんですよね。 私たち日本人は、「自国での暮らしが苦しくて」という理由でアメリカに住んでいるわけではないので、うちの子供たちが将来どこで暮らしても彼らの自由なのですが、やはり日本の文化やマナー、少なくとも日本語だけは身につけて欲しいと願ってます。 ……でも、やがて彼らが日本を忘れてしまったら、こんな親の願いも鬱陶しくなるんだろうなぁ。 この作品は、同じくメキシカン・アメリカン二世の女の子の迷いや成長を描いた『The House on Mango Street』と対比されることが多く、対照的な彼らの選択はとても考えさせられます。 ★★★☆☆
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The Piano Lesson
2008 / 01 / 31 ( Thu )
大学の『Critical Writing』の授業で使った戯曲作品。 ピューリッツァー賞ドラマ部門で大賞を受賞。 【あらすじ】 ある黒人一家が暮らすアパートの一室。 決して裕福とは言えない生活に不釣り合いなピアノが置かれている。 この曾祖父が残したピアノを巡って、「売った金で土地を買いたい」と強引にでも運び出そうとする弟と、「家族の思い出が詰まったピアノは絶対に手放さない」と抵抗する姉。 それぞれの言い分には、うなずけるだけの理由があるのだが……。 --------------- 私は女だからでしょうか。 姉・ベニースの意見に共感するのですが、じゃあ、と冷静に考えてみると、彼女の主張は弟のものに較べて弱すぎて、「負けるんだろうな」と思うわけです。 今は亡き先祖たちの姿が彫刻されたピアノ……弾く人が誰もいなくなっても、それはやはり手放せないだろ? しかも奴隷だった時代に、家族の誰かと引き換えに入手したんですよ、このピアノ。 でも、弟の言い分の方が説得力ありますよね。 このピアノは『過去』の象徴であり、ベニースは過去にしがみついて生きている人に思えました。 ★★★☆☆ |
The Yellow Wallpaper
2007 / 03 / 22 ( Thu )
私が読んだのはこのバージョンではなく、しかも表題の作品のみです) 1892年に雑誌で発表された『The Yellow Wallpaper』は、著者がわずが2日間で書き上げたとされる短編小説です。 物書きである主人公の女性が、出産後に「体を休めるように」と書くことを夫と主治医から止められ、さらには「きみは何もしなくていいから」と見当違いな優しさで幽閉され、次第に精神を病んでいきます。 彼女の見る幻覚の描写がおどろおどろしく、この作品はホラーにも分類されているようですが、深く読み込めばフェミニズム文学であることがよくわかると思います。 私的には共感する部分が多く、短いながらも衝撃的な作品でした。 こちらで読むことができます。 ★★★★★ |
Fried Green Tomatoes at the Whistle Stop Cafe
2006 / 11 / 17 ( Fri )
とにかく面白い! 映画も観ましたが、やはり原作のほうが断然イイです。 ストーリーは、現在と過去の2本立て。 老人ホームで出会ったおばあさんの昔の思い出話に、夢中になっていく鬱病の中年女性。 ふたりの間に徐々に育っていく友情と、思い出話に出てくるふたりの女性の友情(愛情)を軸に、夫婦や家族のあり方、社会における女性の立場、人種差別、貧困、DV、同性愛、いじめ、身体障害者、老い……などなど、本来重いはずの問題が、ユーモアを交えつつ、著者の温かな目線で描かれています。 そしてちょっぴりサスペンス仕立て。 特に女性にお薦めしたい、応援歌のような作品です。 ★★★★★ |
The Five People You Meet in Heaven
2006 / 06 / 02 ( Fri )
ノンフィクション『Tuesdays with Morrie』で私を号泣させたミッチー・アルボムの、こちらはフィクションです。 83歳の主人公・エディが事故で亡くなり、彼が天国で出会う5人の人々のお話。 『Tuesdays ....』でも思ったんですが、著者のミッチーは仏教思想の影響を、少なからず受けているのでは?という印象が強くなりました。 このお話に輪廻転生は出てきませんが、エディが天国で出会う5人は、彼が自覚のあるなしに関わらず、人生のどこかで出会っていて、大きな影響を与え合った人ばかり。 そういう考え方って、キリスト教にもあるのかなぁ。 泣ける、というよりは、生きるということをいろいろ考えさせられる本でした。 ★★★★★ |
The Kite Runner
2006 / 04 / 16 ( Sun )
読了したのはもう2年近く前なのだけど、読後数日間放心状態が続いてしまうほど強烈でした。 もちろんレビューなど書けず、おかげでこの本の後、長い間mixiレビューをさぼってしまいました。 この作品、なんと著者の処女作にしてベストセラー。 フィクションとは言っていますが、あまりの鮮明さに著者の自伝ではないかと思ってしまうほどです。 舞台は70年代のアフガニスタン、身分は違えど、仲良しの少年ふたりが遊ぶほほえましい光景から始まります。 やがて、子供にありがちなささいな躓きが大きな溝となり、ふたりを分ち、歴史の波に呑み込まれていく彼らの半生を描いた作品。 友情、裏切り、父と子の関係、少数民族への差別、内乱、ソビエト軍の侵攻、そして償いと心の再生。 ――大人になったら忘れてしまうような子供の頃の小さな過ちが、もしかしたらこんな風に、誰かの人生を大きく変えてしまっているのかも…… ――もしかしたら自分も、気づかぬうちに誰かの苦しみの上に立って生きているのかも…… そう思わされて、怖くもなりました。 大袈裟でなく、深夜に何度も泣き叫びながら読みました。 本当に、これほどまで胸が張り裂けるほど読み進めるのが辛く、同時に読まずにいられなかった作品は、これまで出会ったことがありません。 そして、主人公は後半の人生を償いにあてたのだなぁ、と、最後は浄化されるように、読み手も清々しい気持ちになれます。 星5つでは足りません。 10個ぐらいつけたい。 日本語版も出版されたそうなので、たくさんの人に読んで欲しい作品です。 ★★★★★ |
Memoirs of a Geisha
2006 / 03 / 13 ( Mon )
映画を見る前に原作を読んでおきたかった作品。 描写がとても美しく、アメリカ人作家が書いたとは信じられないほど、日本の習慣や日本人の物の考え方が正確に描かれています。 ストーリー自体は、第二次世界大戦前の大恐慌から戦中、戦後、現代と激動の時代を生き抜いた、一人の芸者・さゆりの半生。 9歳の時に貧しい漁村から祇園に姉とともに売られ、すぐに姉とは引き裂かれ、先輩芸者からひどいいじめられ続け、ひょんなことで出会った男性への恋心だけをモチベーションに、下働きの娘から、祇園ナンバーワンの芸者へとのぼりつめていくサクセスストーリー。 息つく間もないストーリー展開と、からみあう人間関係に先が気になって、しばしば寝不足になりました(笑) 戦後の日本が立ち直っていく姿もかいま見られて、歴史的な側面からもとても興味深かったです。 ひさびさに読み終わるの惜しい本でした。 最後の1章は読み残して、翌日にじっくり読みました。 ★★★★★ my total=1,891,469語/112冊目 |
Of Mice and Men
2006 / 01 / 07 ( Sat )
舞台はちょっと昔のカリフォルニア。正確には何年頃なのかしら。 小柄で利発なジョージと、体は大きいけどちょっと頭の弱いレイニーは腐れ縁。 仕事を求めて農場から農場へと旅する2人は、いつか2人で土地を買って、イチゴとアルファルファを植えて、ウサギを飼うことを夢見ている。 時にはレイニーを疎ましがってるジョージだが、なぜか切り捨てられない。 そんな2人が新たに仕事を得た農場で、レイニーが取り返しのつかない事件を起こしてしまう。 英語レベルは難しめ。 なまりの強い台詞に苦戦して、スタインベックにしてはかなり短いストーリーでしたが、読むのに時間がかかりました。 アメリカがまだ貧しかった時代、人種差別も色濃く、登場人物一人一人がそれぞれの夢をもって、幸せになりたいともがいているのに、人生は思い通りにいきません。 全体が焦燥感に包まれていて、やるせないストーリーです。 そしてラストでは、深い友情があったがために、相手を愛するがために、悲しすぎる結末です。 「何のために生まれてきたんだよ、この人たちみんな!」と叫びたくなるような話でした。 翻訳版でももう一度読みたいです。 ★★★★★ my total=1,453,847語/108冊目 |
Our Town
2006 / 01 / 03 ( Tue )
カレッジの授業で読んだお芝居の脚本。 ごくありきたりの小さな町に住む、ごくありきたりの家族。 子供たちは成長し、恋をし、結婚をして……やがて死んでいく。 終わらない生と死のルーティーン。 なんの変哲もない毎日。 けれど、ありきたりの日々が、当たり前だと思って生きている毎日が、いかに貴重で美しく幸せなことかと教えてくれる物語です。 読んだ後には必ず、「毎日を大切に生きよう」と思えるはず。 日本語版もあります。 授業で見たお芝居のビデオもすごくよかったなぁ。 ★★★★★ |
The Rocking Horse Winner
2005 / 08 / 24 ( Wed )
【あらすじ】見栄っ張りの母と、いつも仕事で不在の父。もうロッキング・ホース(おもちゃの木馬)に乗るような年齢ではないけれど、いらだちや寂しさをぶつけるように漕ぎ続ける少年。激しく、もっと激しく漕ぎあえぐうち、少年の口からこぼれたのは、次のレース(競馬)の予想だった。 ◇一般/短編/文学 狂ったように木馬を漕ぐ少年がちょっと怖い。 日常的に彼だけに聞こえる“家の声”も。 トランス状態で競馬を予想するなんて、まるでSF(笑) でもテーマとしては、“本当の幸せとは何か”。 短いストーリーながら、金に取り付かれた人間の醜さを描いています。 いつまでも純真な子供のままじゃいられないのね。 Literatureの教科書に載っていた作品。 ★★★★★ |
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