■ 慢性濫読 ■

最近めっきり物忘れがひどいので、簡単な読書メモです。ミステリ多め

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09年1月のまとめ  

1月の読書メーター
読んだ本の数:17冊
読んだページ数:5425ページ

クジラの彼クジラの彼
★★★★★
読了日:01月30日 著者:有川 浩
オリンピックの身代金オリンピックの身代金
★★★★☆
読了日:01月29日 著者:奥田 英朗
告白告白
★★★★☆
読了日:01月26日 著者:湊 かなえ
八日目の蝉八日目の蝉
★★★★☆
読了日:01月25日 著者:角田 光代
悪人悪人
★★★★★
読了日:01月21日 著者:吉田 修一
赤朽葉家の伝説赤朽葉家の伝説
★★★★★
読了日:01月18日 著者:桜庭 一樹
イノセント・ゲリラの祝祭イノセント・ゲリラの祝祭
★★☆☆☆
読了日:01月16日 著者:海堂 尊
ブルーバックブルーバック
★★★☆☆
読了日:01月10日 著者:ティム・ウィントン
空色の地図 (ハートウォームブックス)空色の地図 (ハートウォームブックス)
★★★★☆
読了日:01月10日 著者:梨屋 アリエ
螺鈿迷宮 下 (角川文庫)螺鈿迷宮 下 (角川文庫)
★★★★☆
読了日:01月09日 著者:海堂 尊
螺鈿迷宮 上 (角川文庫)螺鈿迷宮 上 (角川文庫)
★★★☆☆
読了日:01月09日 著者:海堂 尊
ジェネラル・ルージュの凱旋ジェネラル・ルージュの凱旋
★★★★☆
読了日:01月08日 著者:海堂 尊
ナイチンゲールの沈黙ナイチンゲールの沈黙
★★★☆☆
読了日:01月07日 著者:海堂 尊
チャイルド44 下巻 (新潮文庫)チャイルド44 下巻 (新潮文庫)
★★★★★
読了日:01月06日 著者:トム・ロブ スミス
チャイルド44 上巻 (新潮文庫)チャイルド44 上巻 (新潮文庫)
★★★★☆
読了日:01月06日 著者:トム・ロブ スミス
イニシエーション・ラブ (文春文庫)イニシエーション・ラブ (文春文庫)
★★★☆☆
読了日:01月05日 著者:乾 くるみ
チェ・ゲバラの遥かな旅 (集英社文庫)チェ・ゲバラの遥かな旅 (集英社文庫)
★★★★☆
読了日:01月02日 著者:戸井 十月

読書メーター


---------------

1月は読みましたねぇ!
冬休みの毒暑熱(←一発変換で出ましたw)、もとい読書熱が止まらずに、新学期が始まってからも読んでる始末。
しかも、日本で購入した本もあるものの、定価の1.3倍も払ってアメリカで購入した新刊もたくさんで、きっと在米7年間で最も贅沢した月だったような気がします。
しあわせ~(^^)♪


で、順位を付けるのは難しいのですが、あえてベスト3を挙げるなら……

1:『悪人』吉田修一
  悲しく切なく救いがない。犯罪小説としても恋愛小説としても忘れられない。

2:『チャイルド44』トム・ロブ・スミス
  実話をベースにした連続殺人の残虐さだけでなく、スターリン政権がどんなものであったか、教科書では知り得なかった当時のソ連が恐ろしかった。

3:『赤朽葉家の伝説』桜庭一樹
  最初の数ページで引き込まれる、女3代と大河ドラマ。とにかく楽しくてあっという間。



今後、大学中退か育児放棄でもしないかぎり、こんなに読める月はもうないだろうなぁ、うん。




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category: 本にまつわる雑記

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『クジラの彼』有川 浩  

クジラの彼クジラの彼
(2007/02)
有川 浩

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出版社/著者からの内容紹介
「沈む」んじゃなくて「潜る」。潜水艦とクジラと同じだから。
人数あわせのために合コンに呼ばれた聡子。そこで出会った冬原は潜水艦乗りだった。いつ出かけてしまうか、いつ帰ってくるのかわからない。そんな彼とのレンアイには、いつも大きな海が横たわる。恋愛小説作品集。



読後にズッシリ放心状態になるような作品が大好物ですが、さすがに数冊連続すると、軽く読める良作やホンワカするものが読みたくなりますね。
ここのところ私生活でもちょっと疲れていたので、癒しを求めて手にした有川浩さん。
一部は再読です。


著者本人が『活字でベタ甘ラブロマ』と評する、自衛隊が舞台の恋愛短編集。
収録された6本のうち3本が、長編からのスピンアウトという形を取っていて、有川ファンにはたまらない1冊です。
以下、簡単にあらすじ紹介。

【クジラの彼】合コンで出会った史上まれに見る高物件の彼は、次にいつ会えるかわからない潜水艦乗りだった。

【ロールアウト】果てしなく続く長い通路にならぶトイレをめぐり、彼女の戦いが始まった。

【国防レンアイ】生意気で居丈高なクセにめちゃくちゃかわいい彼女とは、腐れ縁8年の単なる同期なのだが。

【有能な彼女】素敵すぎる彼女と、今ひとつ自信のない俺。さらに年の差が気になってなかなか結婚をきりだせなくて。

【脱柵エレジー】純情は悲壮? 滑稽? あるいは迷惑!? あのフェンスを越えれば、彼女に会える! はずだった。

【ファイターパイロットの君】強くて、きれいで、凶悪にかわいい君を僕はどうやって守っていったらいいんだろう

(表紙カバーより)



有川さんの長編に登場する素敵なカップルたちのその後が読みたくて買った本作。
じつはスピンアウト作品の3本は書店で立ち読みして購入し、そのまま寝かしてありました。
なのでやっぱりどの作品が好きかと聞かれれば、その3本ですかね。

『クジラの彼』は、長編『海の底』で閉じ込められた潜水艦で活躍する2人の海自自衛官のうちの一人、穏やかな方の冬原さんのナレソメの話。
昔いっとき自衛隊潜水艦の事故がニュースになったり、私もコミック『沈黙の艦隊』(かわぐちかいじ)を夢中になって読んだ時期もあったのに、あの潜水艦が何ヵ月も寄港せずに航行していることや、その中には独身の若者も乗り込んでいるという現実に、まったく気づきませんでした。
そうですよね。
彼らにだって青春や恋愛はあるんですもの!

『有能な彼女』は、同じく『海の底』で冬原とコンビの夏木の“その後”。
『海の底』のラストでは、ビックリするやらキュンキュンするやらの終わり方でしたからね、その先が気になってしょうがない。
ましてやツンデレ(?)の夏木は、めっちゃ私の好みですから!
潜水艦の中ではあんなに怖かった夏木も、陸に上がって愛しい彼女の前だと、じれったいほどのヘタレぶりで、そのギャップがいい。
彼女の方も、うーんと面倒くさい、でも一途な女に描かれていて、それがまた可愛い。

『ファイターパイロットの君』は、これもまたお薦めの長編SF『空の中』に登場する女性F-15パイロットの光稀と、航空機開発技師の高巳の結婚生活のお話。
(結婚したんだね。ヨカッタ、ヨカッタ^^)
こちらでは、遠く離れた駐屯地で飛ぶための訓練を続けるママ・光稀と、世間の心ない風当たりから彼女を守りたいパパ・高巳、そして幼いながらに働く両親を理解しようとする娘・茜の絆が泣けます。

スピンアウトもの以外では『国防レンアイ』が好き。
女を外見だけでなく、人としての生き様で好きになってくれるような人に私も出会いたかったー!
(でももう手遅れw)

どの作品にも、「きゃーっ!」と叫びながら、本を胸に抱きしめてゴロンゴロンしたくなるようなキメ台詞が出てきます。
長編を読んでいなくても楽しめると思いますよ。
普段は恋愛小説はほとんど読みませんが、『図書館戦争』の別冊といい、有川さんの“ベタ甘”は大好きです。
文体はラノベに近いですが、すごくリアリティがあって等身大な気がするので(SFが多いので、設定や背景は別として)。


今回も有川さんには両手放しで楽しませていただきました!
結局私にとっては読書は“お楽しみ”ですから、「うひょひょ~」っとむさぼり読んで、泣いたり笑ったり楽しませてくれる作品がイチバンです。
そういう意味で彼女は私の大好きな作家さんのひとり。



★★★★★



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category: 有川 浩

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『オリンピックの身代金』奥田 英朗  

オリンピックの身代金オリンピックの身代金
(2008/11/28)
奥田 英朗

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内容(「BOOK」データベースより)
昭和39年夏。10月に開催されるオリンピックに向け、世界に冠たる大都市に変貌を遂げつつある首都・東京。この戦後最大のイベントの成功を望まない国民は誰一人としていない。そんな気運が高まるなか、警察を狙った爆破事件が発生。同時に「東京オリンピックを妨害する」という脅迫状が当局に届けられた!しかし、この事件は国民に知らされることがなかった。警視庁の刑事たちが極秘裏に事件を追うと、一人の東大生の存在が捜査線上に浮かぶ…。「昭和」が最も熱を帯びていた時代を、圧倒的スケールと緻密な描写で描ききる、エンタテインメント巨編。



東京オリンピック爆破を狙うテロリストと警察の数ヵ月間が、2段組み520ページのボリュームに描かれている。
ストーリーの軸になっているのは、テロリストであり東大経済学部院生の島崎、若手刑事の落合、島崎とかつては同級生だった警視庁オリンピック警備本部の幕僚長を父に持つテレビ局勤務2年目の須賀で、日付を前後しながら、この3人の身辺で物語が進行する。

秋田の貧しい農家出身の島崎が、オリンピック会場の工事現場で出稼ぎをしていた長兄の死の連絡を受けるところから始まる。
学生運動も盛んだったこの時代、しかも警察の介入を一切拒んだ治外法権のような東大に学んでいながらもノンポリだった島崎。
兄の死がきっかけで、自分の出自のうしろめたさもあって目を逸らし続けた戦後復興と繁栄の陰にある労働者たちの現実に気づき、プロレタリアートとして浮かれる国家に一撃を喰わそうとする。



……のですけどね、時代や情景や伏線のような人間関係とそこで発生する小さな事件は細かく描かれているわりには、主人公の島崎国男の性格や感情や、特にオリンピック妨害というとんでもないテロリズムを実行するに至る動機が弱い気がするんですよ。
もちろん、落合や須賀と視点が変わるたびにどんどん引き込まれていくんですけど、島崎の動機が、「国に対して怒っているんだろうなぁ、たぶん」といった手応えで、それがちょっと残念でした。
でもそれは、島崎が感情の起伏に乏しい人間に描かれてるせいもあるし、そのせいで彼が犯罪などとは無縁の優男として魅力的に見えるのだけれど。

オリンピック妨害の目的は島崎の私利私欲ではもちろんないのが明らかだし、そんなことをして世直しになるとも本当は思ってないのがわかるし、人柱のような兄の死をそこまで悼んでいるようにも見えないし。
もしかしたら、『国じゅうが熱かったあの時代に、そこだけ冷えきった部分(人)』を作者は表現したかったのかも。

前半は似たようなシーンが多くて長く感じられます(後半はスピードアップ)。
それと、島崎のパッションが今ひとつだったことと、優しくて危険で儚げな私だって惚れちゃうキャラの彼が麻薬中毒になっていく姿が悲しかったので星はひとつ減らしましたが、読み応えのある作品でした。



あと、非常に個人的な感想ですが……やはりこの時代がなつかしい。
いや、私は東京オリンピックの翌年に生まれたので(年齢がバレバレw)、「もはや戦後ではない」と当時の首相に言わしめ、今でも海外では「miracle」と形容される日本の戦後復興と経済成長の熱気までは知りませんが、この作品中に描かれているままの東京の風景を覚えています。
路面電車も母に手を引かれて普通に利用してましたし。
また、この作品を読みながらずっと頭に浮かんでいたのは、自分の両親のこと。
彼らもまた東北の寒村出身で、集団就職の夜汽車に紛れ込むようにして上京し、河に囲まれた下町に根を下ろした人たち。
オリンピックに浮かれる東京も知っているし、力道山の試合は電器屋の店先で見ていたし、子供が生まれたからと、工場の煙突に囲まれたアパートから江戸川近くまで引っ越したのだそうです。
「それはそれは貧乏だったわよ」と母は語るけれど、当時20代半ばだった彼らには、未来というのは今よりも良い生活が必ずあると信じられたんだろうなぁ。
それがちょっとうらやましいなどと、場違いなことを考えておりました。



★★★★☆




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category: 奥田 英朗

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『告白』湊 かなえ  

告白告白
(2008/08/05)
湊 かなえ

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内容紹介
我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から、それぞれ語らせ真相に迫る。選考委員全員を唸らせた新人離れした圧倒的な筆力と、伏線が鏤められた緻密な構成力は、デビュー作とは思えぬ完成度である。



中1の終業式の日を最後に辞職する担任教師・森口(専門は化学)が、生徒たちに別れの挨拶をする中で、校内で自分の4歳の娘が事故死したのは、この中の2人による殺人だったと告げるホームルームのシーンで始まります。
淡々と話すこの女性教師は、とても教養があるんだろうけど、教職への情熱は持っていないような冷静さ。
もともとそういう人なのか、子供を殺されたことでそうなってしまったのかはわからないけど、しょっぱなからとにかく「この人、なんか怖いな」と思いながら読み進め、

愛美は事故で死んだのではなく、このクラスの生徒に殺されたからです。



衝撃的なこの告白で、中断できなくなり一気読みでした。

事故死として片付けられてしまった娘の殺人。
たまたまの偶然もあって、自力で犯人を見つけてしまった教師は、しかし未成年への法的裁きが軽いことから告発はせずに、自らの手で復讐することを決め、この終業式の日に秘かに決行しました。
そしてそこから一気に、負の連鎖が始まります。


デビュー作でこれだけの伏線とオチが書けるなんてすごいと思う。
文体も落ち着いているし、森口先生、彼女の元婚約者で愛美の父親である“世直しやんちゃ先生”、森口辞職後の新担任“ウェルチェル先生”、そして犯人である少年AとBのキャラクターの書き分けが与える印象の効果など、細部に渡って「うまいなぁ」と唸ってしまう作品でした。
ただ欲を言うなら、もっとリアリティを持たせるために、薬品や火薬、メカニズム的に正確で緻密な描写もあるとよかったのに、と思いました。
(あー、でも、そういうのって書いたらマズイのかな?)

アマゾンのレビューを読んでいると、ラストは賛否両論だし、全体的に暗すぎるとか救いがないなどネガティブな感想も多いみたいですが、私はむしろ爽快感すら覚えました。
え? 私って歪んでるのかも??

いや、作品の冒頭でも、森口先生の口から語られる一連の少年犯罪(明らかに現実にあった○○事件とか△△事件であることがわかる)で、大人顔負けの残忍な人殺しをやっていながら年齢が満たないという理由で軽い罰しか与えられないことに対して、私も日頃から疑問を感じていました。
だから、日本の法律では復讐しきれない憎しみを、暴力よりも知能を使って自分の手で果たした森口先生に拍手を送りたい気持ちでした(怖い人だけど)。
ラストもね、私の想像をはるかに上回る復讐で、「おー、そこまでやっちゃったか!」って感心しましたもん。
……なんて、こんなことを書くと非難されそうですが。

だって光市の母子殺人事件だって、足立区であった女子高生コンクリート詰め殺人事件だって、神戸市の酒鬼薔薇なんちゃらによる殺人事件だって、かけがえのない家族を奪われたばかりか殺人者は少年法によって守られてるなんて、遺族の悔しさは私が想像できる範囲を超えてると思うの。
その悔しさを、フィクションではあるけど、少しはやり返してくれたような印象でした。



ちなみに、私がアメリカに引っ越してきたばかりの頃に思ったのは、「ここで一番怖いのは拳銃でもドラックでもなく、ティーンエイジャーかもしれない」ってことです。



★★★★☆




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『八日目の蝉』角田 光代  

八日目の蝉八日目の蝉
(2007/03)
角田 光代

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出版社/著者からの内容紹介
逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか--理性をゆるがす愛があり、罪にもそそぐ光があった。家族という枠組みの意味を探る、著者初めての長篇サスペンス。



不倫相手との間にできた子供を中絶させられた希和子は、その人の妻も同じ頃を出産予定日に、妊娠したことを知る。
そして、生まれた赤ん坊を一目見たいと忍び込んだ結果、衝動的に誘拐してしまう……。
あとはもう、日本中を逃げ回ります。
ある時はゆくあてもなくさまよい、ある時は誰かに助けられ、ただひたすらに赤ん坊を愛して、失いたくなくて。
雨風をしのげる場所を求めて転々とし、やっとそこの生活に慣れて少しは幸せも感じるようになった頃に再び逃げなくてはならない状況になる、という逃亡劇が4年も続きます。
もちろんその間、子供は誘拐犯である希和子を自分の母親だと疑ったこともなく、おそらく自分が不幸だなんて感じたこともないのでしょうね。

この作品、自分の子供が赤ん坊の頃に読んでいたら、私はきっとこの希和子が憎かったと思う。
ほんの10分やそこら留守にした隙に、自分の子供がベビーベッドから連れ去られるなんて、想像しただけで叫びたくなりますよ。
生後1ヵ月の第1子を膝に抱えてスイッチを入れたTVで、阪神大震災の映像を見た時のことを思い出しました。
あの時は涙がボロボロ流れるほどに怖かったんです。
それは、自分の命に代えても守りたいものができたから。
作中、希和子が何度も、「この子さえいれば」と心の中で繰り返す気持ちが、すごくよくわかります。


でも、我が子が中学生になった今では、希和子を憎めない。
むしろ、彼女の愛情こそが本物だったんじゃないかって、切なくなります。
希和子視点の第1章と、成長した子供・薫視点の第2章の両方を通して、関わるすべての人たちにさまざまな事情があって、歪みや苦悩を抱えているところが、誘拐&逃亡劇という表面の下にある作品の本題なんじゃないかって思いました。
淡々とした文章で数年間が語られた最後、静かにほろりと涙しました。

ああ、親子って、家族って、なんなのかなぁ。
親になったからって人間急に完全体になれるわけじゃなく、相も変わらず弱くて我侭で愚かなのにさ。


タイトルは、『地上に出て7日間しか生きられない蝉。でももしも自分が8日目も生きている蝉だったらどうだろう』みたいな意味です。
読んでる最中はただひたすらにページをめくるけど、読後しばらくいろいろ考えて放心してしまう作品でした。

同じく“誘拐(?)→逃亡劇”の『キッドナップ・ツアー』とはまったく違うテーマと展開でした。



★★★★★
↑読了直後は星4つでしたが、半日以上たった今はじわじわと星5つ。
そんな後味の作品です。






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今日の収穫  

明日は政治学のテストだというのに。
ええ、三省堂CM店でダブルスタンプデーだったので、行ってきました。
(スタンプカードが一杯になると、10ドルの商品券がもらえるんです!)


前回行った時にたくさん入荷されてた天童荒太の『悼む人』を買うつもりだったのに、今日は品切れ。
その代わり、再入荷されて1冊ずつ残っていた湊かなえ『告白』、奥田英朗『オリンピックの身代金』、貴志祐介『新世界より(上)』を購入(下巻が品切れだったので、取り寄せをお願いしてきました)。
お誕生日でもないのにすごい贅沢!
(ちなみに日本の本は定価の約1.3倍のお値段)

ここの三省堂さん、以前は文芸ものにすごーく詳しい店員さんがいらしたんですが、最近見かけないんですよね。
そのせいか、ベストセラー本でも最初入荷して完売するとずっと品切れとか、上下巻なのに片方しかないとか、ここのところ残念な感じなんです。
この店から車で10分ほどのところに、コミックが充実してる紀伊國屋書店さんもあるんですけど、こちらはスタンプカードがないので、あまり利用していませんでした。
ところが先週久しぶりに行ってみたら、話題の本はもちろん、私が見落としてた新刊ハードカバーも平積みでズラリ。
『このミス』も『本屋大賞』もしっかりチェックした品揃えとポップが嬉しかったです。
うーん………浮気しちゃおうかな(笑)


ついでにBOOK-OFFも巡回。
今日のラッキーは、“お高いコーナー”でふと手にした京極夏彦『陰摩羅鬼の瑕』に1ドルのシールが付いてたこと!
嬉しい! 新品同様ですごく綺麗なのに!
アンラッキー(?)は、数週間前に悩んだ挙げ句に計15ドルで購入し未読のエーコ『薔薇の名前』上下巻が、今日は1ドルコーナーにあったこと。
うう、こういうのって泣ける。
あと、桜庭一樹『私の男』を1ドルでゲットして喜んで帰宅したら、積読段ボールの中に同じ本が。
しかもわりと最近、8ドルで購入したらしいよ私。


そんな本日は、お風呂で角田光代『八日目の蝉』を1時間ほど読書。
誘拐して旅して、いろんな人に出会って……って、『キッドナップツアー』を思い出します。
あの作品の良さが私には今ひとつわからなかったので、今回は違う展開&着地になってくれることを願います。


余談ですが、今使ってる政治学の教科書、『We the People』が読みやすくて、ところどころに挿入されるサイドストーリーみたいなのも面白いです。
と、こんなことをここに書いても、あまり意味がなさそうですが(笑)




悼む人 告白 オリンピックの身代金 新世界より 上 新世界より 下 陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず) (講談社ノベルス) 薔薇の名前〈上〉 薔薇の名前〈下〉 私の男 We the People: A Concise Introduction to American Politics 八日目の蝉





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『The Cask of Amontillado』Edgar Allan Poe  

せっかく(?)文学の授業を受けているのだから、授業で取り上げられた短編やポエムの話題も時間の許す限り書いていこうと思います(^^)



今学期に取ってる英米文学入門の授業なんですが、週1回で3時間、じっくりまったりディスカッションや解析を行なっております。
で、今週のお題はエドガー・アラン・ポーの『The Cask of Amontillado』(邦題:アモンティラードの樽)でした。

アメリカの文学史上、最も文壇に影響を与え、人気を博した短編小説作家ということで取り上げられたポー。
19世紀に生き、70の短編小説と100の記事、4冊の詩集、1冊の長編小説、1冊の哲学書を残して、40歳の若さで亡くなっています。
ポーといえば、アル中に近い酒飲みであったことが知られおり、死因も酔って路上に倒れていて病院に運ばれたもののそのまま亡くなったそうなんですが、教授の講義によると、人柄としてはとても穏やかな人で、良き友、良き夫だったらしいです。
早くに両親を亡くし、引き取られた先ではあまり幸せではなかったようですが、27歳の時に13歳のヴァージニアと結婚し、溺愛して幸せに暮らします。
しかしそれも長くは続かず、ヴァージニア19歳で結核を発症し5年後には亡くなってしまいました。
それからのポーの生活はすさんだものだったそうです。

早かった両親の死、病床の妻、そしてアルコール漬けの生活だったためか、ポーの作品にはいつも死の陰がつきまとい、小道具として酒が頻繁に登場します。
今週授業で取り上げられた『The Cask of Amontillado』(『アモンティラードの樽』)もそのひとつ。


アモンティラードとはワインを熟成させたシェリー酒をさらに寝かして作ったスペイン発祥の珍しいお酒。
そのアモンティラードを大樽で手に入れたから、と、恨みのある酒好きの友達を言葉巧みに自宅の地下墓地(カタコンベ)に誘い込み、最後には生きたまま壁に塗り込んでしまうという残酷な復讐のお話です。



↓授業で見せてもらった動画。すっごく綺麗だし、曲もいいです





↓ポーの短編集はいろんなとこから出てるので、探せばいろいろありそうですが……

Edgar Allan Poe's the Cask of AmontilladoEdgar Allan Poe's the Cask of Amontillado
(1982/05)
David CuttsEdgar Allan Poe

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↓日本語でしたら、ここに収録されてます。この翻訳者さんは有名ですね

黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫)黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫)
(2006/10/12)
ポー

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★★★★☆




追記に細かいあらすじと解説があります。
ネタバレしてます

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『悪人』吉田 修一  

悪人悪人
(2007/04/06)
吉田 修一

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内容(「BOOK」データベースより)
保険外交員の女が殺害された。捜査線上に浮かぶ男。彼と出会ったもう一人の女。加害者と被害者、それぞれの家族たち。群像劇は、逃亡劇から純愛劇へ。なぜ、事件は起きたのか?なぜ、二人は逃げ続けるのか?そして、悪人とはいったい誰なのか。



ああ、もう、なんというか……やりきれない話です。
悲しい、というのとも違う……「やってらんないよ。誰か何とかしてあげてよ」って、ずしっときて、しばらく胸にぽっかり空洞ができてしまうような読後感。
ミステリなんですが、人間というものをすごく深く書き込んだ作品で、日頃恋愛小説はほとんど読まない私でも、逃げる二人のお互いを思い合う愛情(これはもう純愛と言ってもいい)に胸が締め付けられるようでした。

法では裁けない悪人たちが、のうのうと生きているのが恐ろしい。
結果的には殺人を犯してしまった人でも、そこに行き着くまでのことを思えば、救いはないのかと叫びたくなる。


この作家さんの作品を読むのは初めてでして、恋愛小説を書く方だとずっと思い込んでいたんです。
でもこの『悪人』は、張られた伏線を最後にはきちんと回収してくれるミステリとしての爽快さも巧みだし、疑うことなく犯人だと思っていた人が、「あれ?もしかして違う人?」と途中で疑わせる叙述も上手いです。
犯人、被害者、そして犯人と一緒に逃亡する女性の3人だけではなく、親族や友人などの立場で描かれるパズルのピースのような物語が合わさって、全体像が見えてきます。
そして作品の最後の方で、おそらく聴取のような形で語られる人々の話を総合してみると、本当の“悪人”は誰だったのかと溜息が出てしまいました。

それからこの作家さんは、人の心情の小さな動きを表現するのが見事ですね。
温度や匂いや空気を使って。
『体温には匂いがある』ってくだりにはすごく共感しました。
あと、『デートが終わったとたんにもう会いたい』ってとこも。


なんかベタ褒めしちゃってますけど、ミステリとしても恋愛小説としても、人間ドラマとしても一級の作品だと思いました。
映画化されないかなぁ。
あ、いや、映画化されると原作のイメージが崩れることのが多いから、それはやめてほしいかな。
うん。



★★★★★





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category: 吉田 修一

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『赤朽葉家の伝説』桜庭 一樹  

赤朽葉家の伝説赤朽葉家の伝説
(2006/12/28)
桜庭 一樹

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出版社 / 著者からの内容紹介
「山の民」に置き去られた赤ん坊。この子は村の若夫婦に引き取られ、のちには製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれて輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そしてニートのわたし。高度経済成長、バブル崩壊を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる3代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の血脈を比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。



面白かった! というか、楽しかった!
『このミステリーがすごい!』で2位になっていて、ずっと気になっていた本ですが、ちょっぴりファンタジー風味の大河ドラマに、がっつり引き込まれました。
ミステリじゃなくて。


舞台となっている山陰の村(のちに地方都市として描かれている)は、製鉄所とそこで働く人たちで発展、維持されてきたような土地。
製鉄所のオーナー、赤朽葉家の屋敷が高台の頂上にあって、『だんだん』と呼ばれるこの高台の斜面に社員や職工たちの官舎が職場での役職順に下に向かって広がってヒエラルキーみたいなものを構成している。
その描写は、『チャーリーとチョコレート工場』を連想させました。


物語の大筋は、終戦直後の高度成長期を描いた第1部、語り手の祖母・赤朽葉万葉の『最後の神話の時代』、第2部は'79~'98年のバブル全盛&バブル崩壊の頃に青春を送った母・毛鞠の『巨と虚の時代』、そして殺人の真相を追い求める第3部、現代を生きるニートの語り手・瞳子の『殺人者』。

ミステリだと思って読み始めたものの、強い女たちに支えられた旧家と、それを取り巻く人々のドラマが面白くて、第3部に至るまでミステリであることをすっかり忘れていました。
いや、最後まで読んでも、この作品をミステリのジャンルにくくるのはどうか、と思ってしまうんですが。

同時に、戦後50年の日本の変遷、価値観や生き様の移り変わりも細かく描かれています。
赤朽葉家の人々もそんな歴史の波に飲まれたり押し流されたりして、かつては小さな王国に君臨していた旧家も次第に姿を変えてゆく……その様子は興味深くもあり、寂しくもある様子です。



私的には、第2部の毛鞠ちゃんとドンピシャの同世代。
だからあの頃の若者が憧れた“カッコイイ”生き方っていうのもすごくよくわかるし、熾烈な受験戦争の陰で壊れてゆく若者や燃え尽き症候群、校内暴力、拝金主義、一攫千金などなど、実感を伴ってリアル。
この怒濤のような、良くも悪くも熱い毛鞠の時代の後、娘の瞳子は打ち込めるものもない冷めた青春を送っています。
第3部の中で瞳子が、母・毛鞠と同世代で無職の蘇峰と自分を較べて、

バブルを知る世代に特有の奇怪な前向きさを持ち続けているように見えた。彼の蘊蓄は、いまよりもいい暮らし、いまよりも満足できる文化に、自分という列車は必ずたどりつくという信念に裏打ちされているように思えてならなかった。それはわたしたちの世代にはない性質であった。わたしたちはそんな感覚はまるで知らない。すべてがあらかじめ終了したこの国をただ、漂うようにして、わたしは育ったのだ。



と表現している。

これにはハッとさせられました。
蘇峰はまるで私。
信念を持ち続けて、努力さえ怠らなければ、いくつになっても自分の未来はきっと明るいものだ、なんて、バブル時代の考え方のままでいたけれど、今はそんな時代じゃないんですね。



山陰の旧家+女3代+ミステリ、ということで横溝正史作品のようなドロドロを想像していましたが、笑いあり涙あり、友情やBL(?)あり、じゃぱゆきさんや不登校ありの読後爽快な作品です(意味不明な説明ですみません……)。
Amazonのレビューでは賛否あるようですが、私としてはオススメです。



★★★★★



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category: 桜庭 一樹

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『イノセント・ゲリラの祝祭』海堂 尊  

イノセント・ゲリラの祝祭イノセント・ゲリラの祝祭
(2008/11/07)
海堂 尊

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東城大学医学部付属病院不定愁訴外来の責任者で、万年講師の田口公平は、いつものように高階病院長からの呼び出しを受けていた。高階病院長の“ささやかな”お願いは、厚生労働省主催の会議出席。依頼主は、厚生労働省役人にてロジカル・モンスター、白鳥圭輔。名指しで指名を受けた田口は嫌々ながら、東京に上京することを了承した。行き先は白鳥の本丸・医療事故調査委員会。さまざまな思惑が飛び交う会議に出席した田口は、グズグズの医療行政の現実を知ることに……。(表紙カバーより)



おなじみの登場人物としては田口先生と白鳥調査官ぐらいで、あとは他大学の医師など新しいキャラがたくさん出てきます。
舞台のほとんどが厚生労働省の会議室で、医療問題を巡る会議のシーン。
論争のメインは、これまでもシリーズの中で焦点を当てられてきたAI(死亡時画像検査)――つまり死体にCTスキャンをかけることによって、病理解剖を承諾しない遺族も納得する形で死因を解明する方法――を、国がバックアップして導入していこうよ、ってことなんですが、それにからむ責任の所在や金銭的なこととなると、一般読者の私はついていけなくなります。
会議中は専門用語の多い台詞ばかりになってしまうし。
ふと気づくと、字面をただ斜めに目で追ってる自分に気づいて、「あ、なんか作家さんに置き去りにされてるかも」と感じました。

うう、好きなシリーズなのに、楽しめない自分が残念!
これ、もしかしたら医療関係者や厚労省関係者なら楽しめるのかしら??
と、大学病院で外科医をやってる友人や、厚労省で大学病院の監査をやってる友人の顔が浮かびました(でもオススメする気にはなれないなぁ)。


今回はエンタメ作品というよりも、著者が書きたいことを思いっきり書いたのでは、という印象でした(海堂さん、確か病理医だったような)。
冒頭では、新興宗教内の修行で信者が亡くなり、解剖によって内臓破裂が発覚する……という出だしだったので期待したんですが、途中からこの事件にはまったく触れられなくなります。
はっきり言って今回はミステリではありません。
次回に期待。


そうそう、ところどころに私にはわからない小ネタが出てくるので、もしかしたら『ジーン・ワルツ』や『ブラックペアン1988』を先に読んでおいたほうがよかったのかも。
帰国した時に買ってくればよかったなぁ。
……と、これでひとまず、私の“海堂尊ブーム”はお休みです。



★★☆☆☆





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