■ 慢性濫読 ■

最近めっきり物忘れがひどいので、簡単な読書メモです。ミステリ多め

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『闇の子供たち』梁 石日  

闇の子供たち (幻冬舎文庫)闇の子供たち (幻冬舎文庫)
(2004/04)
梁 石日

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内容(「BOOK」データベースより)
貧困に喘ぐタイの山岳地帯で育ったセンラーは、もはや生きているだけの屍と化していた。実父にわずか八歳で売春宿へ売り渡され、世界中の富裕層の性的玩具となり、涙すら涸れ果てていた…。アジアの最底辺で今、何が起こっているのか。幼児売春。臓器売買。モラルや憐憫を破壊する冷徹な資本主義の現実と人間の飽くなき欲望の恐怖を描く衝撃作。



あまりの内容の重さと後味の悪さに何も書く気になれず、いろんな方のレビューを読み歩いておりました。
そこで驚いたのは、「これはフィクションだ。鵜呑みにするな」、「著者は在日韓国人だ。騙されるな」、「正義感の押しつけだ」などといった意見もちらほらと存在していたこと。

ええ、これはフィクションです。
作り話の小説です。
しかし世界では、この小説に書かれているような残酷で正視できない児童虐待が日常的に行なわれている国が、本当にあるんです。


わたくしごとですが、1年ほど前、大学のライティングクラスで20枚ほどのリサーチペーパーを書く課題がありました。
与えられた20件ほどの賛否の分かれる社会問題の中から、私は『Child Labor』(子供の労働)を選んで調べ始めました。
ここアメリカでだって、第2次世界大戦前までは、義務教育もろくに受けずに働く子供はたくさんいたし、現在の日本でも、日常的に家業を手伝う子供はたくさんいる。
それが発展途上国や、餓えや病気で子供の死亡率が高い国では、子供が働くのなんて生きていくためには当たり前でしょ?などと奢った気持ちで調べ始めました。
でも現実は……。

(追記あり)



★★★★☆



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日本でも人気の某スポーツウェアブランドは、インドに工場を持ち、そこで働いている人のはほとんどが義務教育中の年齢の子供たち。
学校に行かれないばかりか、埃だらけの労働環境で胸の病気に罹って働けなくなる。
アメリカ最大手のタイヤメーカーは、ゴムの木畑で樹液を集める作業に子供たちを使っていて裁判になった。
そして私がペーパーのテーマに選んだのは、コート・ダジュールのカカオ畑で奴隷として働く子供たちの現実。
……これ、現在も続いてることです。
近隣国からさらわれたり売られたりした10歳前後の子供たちが、お金や教育はもちろん、充分な食べ物さえ与えられずに働かされているのです。

でも難しいのは、じゃあこうした労働環境を完全になくしてしまおう、子供が働くことは国際的に厳しく取り締まろう、としても、この子たちは食べる物にも困窮している親元にも帰れない、という現実の貧しさ。
たとえばインドの縫製工場で働いている女の子たちが労働から解放されても、その子たちは児童買春へと身を落としていくだけなんです。
そんな、どん底の子供たちが、この作品に描かれています。


欧米人や日本人のペドフィリア(小児性愛)をよろこばせるために、血を流しながらセックスを強要される10歳前後の男の子や女の子。
エイズに罹ればビニール袋に入れられ、ゴミと一緒に捨てられる。
さらには、金持ち国の子供の命を救うために生きたままドナーにされ、残った部分はバラバラにされて先進国の実験などに使われる………。

読み進めることをためらうほどの残酷な描写。
しかしその残酷な行為を行なっているのは、『私たち』だということに、冒頭に挙げたレビューアーは気づいていないんでしょうかね。
著者が在日韓国人だから………という発言は、同じ日本人として本当に恥ずかしい。
私は在米日本人で、アメリカでは日本人も韓国人も中国人もタイ人も、『アジア人』と呼ばれているのにね。

以前、『Bitter Chocolate』『Nickel and Dimed』を読んだ時に強く感じた『持てる者による持たざる者からの搾取』という構図が、『闇の子供たち』でもベースになっているのではないでしょうか。


この作品の最後の3ページに、著者の言いたかったことが凝縮されてると思います。




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