■ 慢性濫読 ■

ミステリ多めの読書メモ。児童書からラノベ、洋書と何でも読みます

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『ユージニア』恩田 陸

ユージニア (角川文庫 お 48-2)ユージニア (角川文庫 お 48-2)
(2008/08/25)
恩田 陸

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「ねえ、あなたも最初に会った時に、犯人って分かるの?」こんな体験は初めてだが、俺は分かった。犯人はいま、俺の目の前にいる、この人物だ――。かつて街を悪夢で覆った、名家の大量毒殺事件。数十年を経て解き明かされてゆく、遺された者たちの思い。いったい誰がなぜ、無差別殺人を? 見落とされた「真実」を証言する関係者たちは、果たして真実を語っているのか? 日本推理作家協会賞受賞の傑作ミステリー。(表4より)



北陸のK市であった毒殺事件(犯人は自殺)を元に、当時現場の近所に住んでいた小学生・雑賀満喜子が10年ほどたって、大学の卒業論文としたまとめたものが思いがけなく出版されてベストセラーに。
それからさらに十数年。
作家になることなく、主婦として静かに暮らす満喜子をはじめ、卒論の取材を手伝った後輩や、毒殺事件を担当した警察官など、なんらかの形で事件に関わった人々が語る証言を並べた作品です。


証言は誰かの質問に答えるように書かれているけど、質問者の描写や台詞は一切現われないし、証言している時制がいつなのかもバラバラなので、読み始めてしばらくは戸惑いますが、証言者たちの関係やポジションなどがわかってくると、薄皮を一枚一枚剥がすかのように事件の真相が見えてきます。
でも最後まで読んでも、犯人が誰だとか、どんなトリックだったとか、そういった種明かし的なものは一切ないまま。

じつはこの「なんだかよくわからないまま終わる」パターンの恩田作品があまり好きではないのだけど、なぜだかついつい読んでしまうんですよね。
なぜなんだろう。
それはきっとこの作家さんの文章が、鳥肌立つほど美しいから…かな?
いつも思うのだけれど、空気や温度といった目に見えないものを描くのが本当に上手い作家さんですよね。


今回の作品も好みが分かれるところだと思います。
私もそうなんですが、本格推理と呼ばれる分野が好きな読者は消化不良になるかもしれません。
でも『ユージニア』は、美しくて悲しくて怖い、引き込まれる作品でした。
はっきりとした種明かしがない方が、かえってよかったとも思います。




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Author:ゆう
「趣味は読書」と言えるほどの数は読んでいませんが、文学作品から官能小説やBLまで、何かを読んでいればシアワセです。
小中学生時代は読書に否定的な両親に隠れてヴェルヌ、シートン、ブラッドベリ、江戸川乱歩、筒井康隆、小松左京、横溝正史、萩尾望都、竹宮恵子らを栄養に育ち、高校生〜30代前半は村上龍、山田詠美、片岡義男、島田荘司、綾辻行人に入れ込み、最近はスタインベック、伊坂幸太郎、有川浩、道尾秀介、三津田信三、桜庭一樹らが気になって仕方ない人生の半ば過ぎ。日頃の出費に対する言い訳は、「本は別腹」。
テキスト専門で自給自足もする同人好き(絵描きさんを崇拝)。
2001年よりカリフォルニア州在住。コミュニティカレッジで勉強中の英語が苦手な学生主婦。日常の子育て、大学、オタクな話題はこちら
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