■ 慢性濫読 ■

最近めっきり物忘れがひどいので、簡単な読書メモです。ミステリ多め

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『八日目の蝉』角田 光代  

八日目の蝉八日目の蝉
(2007/03)
角田 光代

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出版社/著者からの内容紹介
逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか--理性をゆるがす愛があり、罪にもそそぐ光があった。家族という枠組みの意味を探る、著者初めての長篇サスペンス。



不倫相手との間にできた子供を中絶させられた希和子は、その人の妻も同じ頃を出産予定日に、妊娠したことを知る。
そして、生まれた赤ん坊を一目見たいと忍び込んだ結果、衝動的に誘拐してしまう……。
あとはもう、日本中を逃げ回ります。
ある時はゆくあてもなくさまよい、ある時は誰かに助けられ、ただひたすらに赤ん坊を愛して、失いたくなくて。
雨風をしのげる場所を求めて転々とし、やっとそこの生活に慣れて少しは幸せも感じるようになった頃に再び逃げなくてはならない状況になる、という逃亡劇が4年も続きます。
もちろんその間、子供は誘拐犯である希和子を自分の母親だと疑ったこともなく、おそらく自分が不幸だなんて感じたこともないのでしょうね。

この作品、自分の子供が赤ん坊の頃に読んでいたら、私はきっとこの希和子が憎かったと思う。
ほんの10分やそこら留守にした隙に、自分の子供がベビーベッドから連れ去られるなんて、想像しただけで叫びたくなりますよ。
生後1ヵ月の第1子を膝に抱えてスイッチを入れたTVで、阪神大震災の映像を見た時のことを思い出しました。
あの時は涙がボロボロ流れるほどに怖かったんです。
それは、自分の命に代えても守りたいものができたから。
作中、希和子が何度も、「この子さえいれば」と心の中で繰り返す気持ちが、すごくよくわかります。


でも、我が子が中学生になった今では、希和子を憎めない。
むしろ、彼女の愛情こそが本物だったんじゃないかって、切なくなります。
希和子視点の第1章と、成長した子供・薫視点の第2章の両方を通して、関わるすべての人たちにさまざまな事情があって、歪みや苦悩を抱えているところが、誘拐&逃亡劇という表面の下にある作品の本題なんじゃないかって思いました。
淡々とした文章で数年間が語られた最後、静かにほろりと涙しました。

ああ、親子って、家族って、なんなのかなぁ。
親になったからって人間急に完全体になれるわけじゃなく、相も変わらず弱くて我侭で愚かなのにさ。


タイトルは、『地上に出て7日間しか生きられない蝉。でももしも自分が8日目も生きている蝉だったらどうだろう』みたいな意味です。
読んでる最中はただひたすらにページをめくるけど、読後しばらくいろいろ考えて放心してしまう作品でした。

同じく“誘拐(?)→逃亡劇”の『キッドナップ・ツアー』とはまったく違うテーマと展開でした。



★★★★★
↑読了直後は星4つでしたが、半日以上たった今はじわじわと星5つ。
そんな後味の作品です。






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